松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
プレドニゾロンからベタメタゾンへの治療変更が有効であった急速進行性間質性肺炎を合併した抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎の1例
西上 美侑武田 賢一平山 勇毅新石 健二新井 健義龍河 敏行小西 龍也山﨑 章
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2021 年 25 巻 1 号 p. 77-82

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抄録
67歳女性.手湿疹で治療を受けていたが,難治性であった.膵管内腫瘍の経過をみるために受けた腹部MRI検査で偶発的に肺内の異常信号を指摘され,胸部CT検査で両側肺底部の胸膜直下に散在するすりガラス様陰影を認めた.細菌性肺炎として外来で抗菌薬治療(アモキシシリン+アジスロマイシン)を開始したが,解熱せず,当院呼吸器内科へ入院した.入院後,抗菌薬をセフトリアキソンに変更して治療を行ったが,肺炎は悪化した.薬剤性肺炎や原因不明の間質性肺炎と考えプレドニゾロン内服治療を併用したが,症状は改善しなかった.手湿疹について皮膚科を受診し,メカニックハンド,爪上皮出血点がみられたため,皮膚筋炎と診断した.自己抗体を測定し,抗MDA-5抗体陽性で,抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎と診断した.ステロイド+タクロリムス+シクロホスファミドによる三者併用療法を開始した.ステロイド治療はステロイドパルス療法の後にプレドニゾロン(60 mg/日)内服で治療を開始したが,明らかな治療効果が得られず,ベタメタゾン(6 mg/日)内服へ変更した.その後改善傾向を示し,再燃なく治療継続できた.今回,私達はプレドニゾロンからベタメタゾンへの変更が有効であった急速進行性間質性肺炎を合併した抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎の1例を経験したため報告する.
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