抄録
松江市立病院は地域の中核病院として一次救急から三次救急医療を24時間受け入れているが,夜間休日は薬剤師1人体制のため妊婦授乳婦に関する薬剤についての問い合わせに十分な対応が困難な場合がある.そこで薬剤師を対象にアンケート調査を行い,問い合わせの多かった当院採用薬の妊婦授乳婦への投与可否一覧表を作成した.また,投与可否一覧表の使用状況を調査し,有用性を検討したので報告する.
投与可否一覧表作成前のアンケート調査では87%の薬剤師が対応に困ったことがあると回答した.問い合わせを受けた薬剤の43%を占めた解熱鎮痛薬と抗菌薬への投与可否一覧表を作成した.投与可否一覧表運用開始後のアンケート調査では解熱鎮痛薬および抗菌薬の問い合わせの全例でこの投与可否一覧表が参考にされており,問い合わせ1件の対応に必要とした時間は解熱鎮痛薬および抗菌薬では8.63±3.23分で,それ以外の薬剤の14.09±8.40分と比べ有意に短時間であった (p=0.0462).今後は要望の多かった薬剤を追加して投与可否表の対象薬剤を増やし,医師や看護師などの医療スタッフと情報共有をはかり妊婦授乳婦に対する適正な薬剤投与をサポートし,チーム医療を進めていきたい.