松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
心肺運動負荷試験から得られる呼吸代償開始点と呼吸数変化の関係についての検討
杉原  辰哉伊藤 麻里子川島  展之松浦  佑哉井原  伸弥黒崎  智之森山  修治上田  正樹森脇  陽子山口  直人
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2022 年 26 巻 1 号 p. 28-33

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抄録
目的:心肺運動負荷試験(CPX)実施時の呼吸数の変化が呼吸代償開始点(RCP)到達の指標として有用であるか検討する.方法:最大負荷時のガス交換比(Peak RER)が1.10以上までCPXを実施した心疾患患者68例から,RCP到達群と非到達群を比較検討した.結果:RCP到達群は56例,非到達群は12例であった.嫌気性代謝域値(AT)からPeakまでの呼吸数変化(ΔRR AT-Peak )は11.4 ± 4.2 vs.4.9 ± 1.8回/分(p<0.001)であり,多変量ロジスティック回帰分析においても有意であった(p=0.010).RCPに到達する負荷に必要なΔRR AT-Peakのカットオフ値を7.0回/分とすると,感度0.875,特異度0.917,曲線下面積0.957,95 %信頼区間0.910〜1.000であった.結語:呼吸数がATから7.0回/分増加するポイントはRCPとほぼ一致しており,CPXの最大運動負荷に到達する指標として有用な可能性がある.負荷終了時を適切に判断するためにAT以降の呼吸数変化を観察することが重要である.
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