抄録
1993年7月から鳥取大学医学部第一病理と静止画像を用いてテレパソロジーによる術中迅速診断を開始した.術中迅速診断の件数はテレパソロジー導入後増加し,全迅速件数の半数以上をテレパソロジーによる診断が占めている.1998年6月迄にテレパソロジーを実施したのは319例であり,提出された臓器は乳腺,甲状腺,肺,リンパ節などで半数以上を占め,正診率は97.4%であった.一般に悪性腫瘍症例は画像数は少なく,診断時間は短かった.逆に良性腫瘍や炎症,診断困難な悪性腫瘍や標本が大きいものでは画像数は多く,診断時間も長くかかった.テレパソロジーによる診断に対して医師はほぼ満足しているが,インフォームドコンセント,予約体制,材料の切り出し等様々な問題があり,臨床側との協力が必要と考える