抄録
入院中に薬物依存に移行している患者が増加してきている現状に視点をあて,要求表現の違う二人の精神分裂病患者への具体的な対応をもとに,与薬時の看護者の心理と行動をアンケート調査によって検討した.看護者は患者が薬物を通して看護者との人間関係を求めているということをある程度意識しているが,実際の行動となると充分でないことがわかった.特に患者が暴力的である場合には顕著であった.また,患者から薬物を要求されたとき,殆どの看護者は適切な対応の困難さに葛藤,ストレスを抱いていた.以上より看護者は,薬物依存を単に患者自身の問題とするのでなく,看護者への甘えとしての基本的欲求として受けとめ,薬物依存には一層の対応努力が必要であると考えられた