1999 年 3 巻 1 号 p. 55-58
症例1は48歳女.多発性骨転移を伴う乳癌患者で,腰椎転移による右L4神経根圧迫症状があり,体動時に右下肢の激痛がみられた.モルヒネ硫酸塩が投与されたが副作用が強く,継続投与が困難であった.症例2は58歳女.肝細胞癌を原発巣とする多発性骨転移があり,腰椎転移の右L4神経根圧迫による右下肢の激痛がみられた.非麻薬性鎮痛剤が投与されたが副作用が強く,鎮痛効果も得られなかった.この2症例に対しMRI,CTにてL4レベルの脊柱管やブロック針刺入路に病変のないことを確認し,右L4神経根ブロックを行った.ブロックは透視下に斜位法で行い,局所麻酔薬とステロイドの混合液を注入した.ブロック後,2症例とも右下肢痛はほぼ消失し,他の部位も含めた疼痛に対し鎮痛剤の投与量を軽減又は中止することが可能となった