廃棄物資源循環学会誌
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特集:廃棄物系バイオマス利活用 ―利活用促進の制度および技術の現状―
廃棄物系バイオマスの利活用のための政策・施策について
名倉 良雄工藤 喜史
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2010 年 21 巻 1 号 p. 3-10

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抄録
バイオマスのうち,特に一般廃棄物系のバイオマスについては,薄く広く存在し,収集面でも困難が多いため,利活用が進んでいない状況である。しかし,バイオマスの利用は循環型社会の形成に資するだけでなく,化石資源の代替として利用された場合は地球温暖化対策となり,低炭素社会の形成にも資するものである。
バイオマスに係る政策としては,平成21(2009)年6月にバイオマス活用推進基本法が成立したほか,循環型社会形成推進基本法,食品リサイクル法などでも,バイオマス利用を進めているところである。また,温暖化対策としては京都議定書目標達成計画でもバイオマスについての目標が定められている。
また,廃棄物系バイオマスを利活用するための施策としては,循環型社会形成推進交付金,廃棄物処理施設における温暖化対策事業などで,財政的な支援を行っているほか,廃棄物系バイオマス次世代利活用推進事業で処理システム全体についての評価などを行っている。さらに研究開発を進めるため,循環型社会形成推進科学研究費補助金で研究者・技術開発者を支援している。
わが国の廃棄物処理は,元々,有機性廃棄物を衛生的に処理する観点から始まったものであるが,衛生処理・環境保全を確保しつつ,廃棄物系バイオマスの利活用をさらに進める必要がある。
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© 2010 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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