廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
Print ISSN : 1883-5864
ISSN-L : 1883-5864
21 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
年頭所感
特集:廃棄物系バイオマス利活用 ―利活用促進の制度および技術の現状―
  • 名倉 良雄, 工藤 喜史
    2010 年 21 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    バイオマスのうち,特に一般廃棄物系のバイオマスについては,薄く広く存在し,収集面でも困難が多いため,利活用が進んでいない状況である。しかし,バイオマスの利用は循環型社会の形成に資するだけでなく,化石資源の代替として利用された場合は地球温暖化対策となり,低炭素社会の形成にも資するものである。
    バイオマスに係る政策としては,平成21(2009)年6月にバイオマス活用推進基本法が成立したほか,循環型社会形成推進基本法,食品リサイクル法などでも,バイオマス利用を進めているところである。また,温暖化対策としては京都議定書目標達成計画でもバイオマスについての目標が定められている。
    また,廃棄物系バイオマスを利活用するための施策としては,循環型社会形成推進交付金,廃棄物処理施設における温暖化対策事業などで,財政的な支援を行っているほか,廃棄物系バイオマス次世代利活用推進事業で処理システム全体についての評価などを行っている。さらに研究開発を進めるため,循環型社会形成推進科学研究費補助金で研究者・技術開発者を支援している。
    わが国の廃棄物処理は,元々,有機性廃棄物を衛生的に処理する観点から始まったものであるが,衛生処理・環境保全を確保しつつ,廃棄物系バイオマスの利活用をさらに進める必要がある。
  • 三浦 貴弘
    2010 年 21 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    近年の世界のエネルギー需要の急増等を背景に,今後は従来どおりの量・質の化石燃料を確保していくことが困難となることが懸念されている。また,低炭素社会の実現に向け,エネルギーの供給や使用段階における対応も重要となっていることから,バイオマスエネルギー等の非化石エネルギー源の利用を促進することが必要となっている。本稿では,バイオマスを含む新エネルギー導入の意義をはじめ,バイオマスエネルギーの利用状況と取り組みの現状について,エネルギー政策を所管する視点から紹介する。
  • 坂西 欣也
    2010 年 21 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    バイオマスは,カーボンニュートラルで,再生可能エネルギーの中で唯一の炭化水素資源であるため,石油や石炭等の化石資源代替エネルギーとして注目されている。特に,輸送用燃料の中で,自動車燃料代替になるバイオエタノールやバイオディーゼル燃料の製造技術の開発が重要になっている。
    (独)産業技術総合研究所 バイオマス研究センターでは,主として食料と競合しない木質バイオマス等のリグノセルロースを原料とし,第二世代のバイオエタノールをつくる研究,およびガス化・ガスクリーニングによって製造された合成ガスからのフィッシャー—トロプシュ (F-T) 触媒反応によるディーゼル燃料をつくる研究 (BTL:バイオマス・トゥ・リキッド),ならびにこれらのバイオマス転換プロセスのシステム評価技術の開発研究を行っている。
  • 纐纈 三佳子, 坪田 潤
    2010 年 21 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    大阪ガス(株)は,平成21(2009)年10月,神戸市,(株)神鋼環境ソリューションと共同で,神戸市東灘処理場で発生するバイオガスを都市ガスとして活用するための共同研究事業を実施することを決定した。この共同研究事業においては,都市ガス仕様に精製した下水汚泥由来のバイオガスが直接都市ガス導管に注入され,都市ガス導管を通じて,広くガスの需要家に供給されることとなる。本事業は一般社団法人都市ガス振興センターの「バイオマス等未活用エネルギー実証試験費補助金」を活用して行われる。また,生ごみの高効率バイオガス化技術の開発として自治体が回収した生ごみを対象に,乾式メタン発酵―超高温可溶化技術の実証を行っている。京都バイオガス化技術実証研究プラントで1日1ton程度のごみ投入を行う連続運転を行った結果,超高温可溶化技術の導入効果としてバイオガス発生量20%増,有機性残渣発生量50%減,および排水処理量50%減という目標値を達成した。
  • 中村 一夫
    2010 年 21 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/24
    ジャーナル フリー
    バイオマスの利活用は,バイオマスが再生可能な資源であることやカーボンニュートラル資源であることから,低炭素社会や循環型社会の構築に向けて重要な課題である。特に,生ごみや汚れた紙類などの廃棄物系バイオマスは,日常の生活環境を保全するために適正処理・リサイクルをすべき廃棄物で,食料と競合しない循環資源であることなどから,その利活用は非常に重要で有益である。しかしながら,日常生活から日々排出される一般廃棄物系のバイオマスについては,薄く広く存在し,収集面でも困難が多いため,利活用が進んでいない状況である。一方では,バイオマスの利活用や代替エネルギーの促進の観点から,「エネルギー供給構造高度化法」や「バイオマス推進基本法」などが制定されている。このような状況の中で,自治体における廃棄物系バイオマス利活用の現状と地域技術実証事例について,各地域での先進的な取り組みや京都市でのバイオマス利活用の技術実証研究を含めた取り組みを紹介する。
平成21年度研究発表会報告
支部活動:関西支部「市民と学生のためのセミナー」報告
書評
feedback
Top