抄録
日本の循環型社会レジームは高度なリサイクル技術を体現したプラントを根底に持ち,優れた再生資源を供給している。しかし,最近日本国内の優れた静脈ビジネスや循環型社会レジームの中に静脈資源が取り込まれず,海外に流出する事態に直面している。この問題の背景には,静脈物流の未成熟性という問題がある。静脈物流におけるモノの流れは可視化されておらず,説明責任も果たせない状況である。日本国内で円滑な資源循環を達成するためには,静脈ビジネスにおける取り引きの高質化を図らなければならない。取引フローにしたがって情報が散逸することがないように,電子マニフェストを普及させ取引のIT化を図るとともに,質の高い静脈物流業者のネットワーク化が必要である。