廃棄物資源循環学会誌
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21 巻, 4 号
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巻頭言
トレーサビリティと電子マニフェスト
  • 細田 衛士
    2010 年21 巻4 号 p. 205-214
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    日本の循環型社会レジームは高度なリサイクル技術を体現したプラントを根底に持ち,優れた再生資源を供給している。しかし,最近日本国内の優れた静脈ビジネスや循環型社会レジームの中に静脈資源が取り込まれず,海外に流出する事態に直面している。この問題の背景には,静脈物流の未成熟性という問題がある。静脈物流におけるモノの流れは可視化されておらず,説明責任も果たせない状況である。日本国内で円滑な資源循環を達成するためには,静脈ビジネスにおける取り引きの高質化を図らなければならない。取引フローにしたがって情報が散逸することがないように,電子マニフェストを普及させ取引のIT化を図るとともに,質の高い静脈物流業者のネットワーク化が必要である。
  • 竹内 敏, 松村 治夫, 尾崎 弘憲
    2010 年21 巻4 号 p. 215-223
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    産業廃棄物の不法投棄の防止や適正処理の確保を目的とする電子マニフェストシステムが1997年6月の廃棄物処理法の改正で制定され,1998年12月1日より稼働した。電子マニフェストシステムは,法の遵守,データの透明性,事務作業・コストの削減が図られることから,その加入者数および登録件数は年々増加し,2009年度の普及率は年間実績で19% (2010年3月の月間実績で23%) となった。電子マニフェストシステムは,過去3回の改良が行われ,2010年5月4日から稼働した新システムでは,そのアクセス方法にWeb方式を導入し,EDI方式と併せて利用されている。わが国は世界に先駆けて電子マニフェストを導入したが,現在では海外でもいろいろな国で電子マニフェストが導入されつつある。本報では米国,韓国,台湾における取組状況についても紹介した。
  • 岡島 壮介
    2010 年21 巻4 号 p. 224-227
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    電子マニフェストの導入事例は排出事業者が多いが,実務的に負荷が高まるのは収集・運搬業者や中間処理業者である。今回は,処理業者が電子マニフェストを導入した場合の効果と課題についてまとめた。
    現在のゼネコン系建設現場の多くで利用されているASP経由により電子マニフェストを登録する方式を,(財)日本産業廃棄物処理振興センターの電子マニフェスト普及促進モデルとして平成15 (2003) 年に試行し,以来継続して利用している。このモデルは現在でもほぼ同じであることから,導入当時の課題とその解決策を事例として紹介する。
  • ――排出事業者の事例――
    國塩 綾子
    2010 年21 巻4 号 p. 228-231
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    セラミックコンデンサをはじめとした電子部品製造事業者である(株)村田製作所本社において2001年10月より産業廃棄物管理票 (マニフェスト) の一部を電子マニフェストで運用した。しかし,対応業者が少なかったことや自社廃棄物管理システムと互換性がなかったことなどから約1年で運用を中止した。2006年6月にJWNETが大幅に機能改善されたことから,2007年度より電子マニフェストの運用を再開し,2009年3月に村田製作所グループ (約20社) で導入を完了した。電子マニフェストおよび当社の導入経緯とその合理化事例,課題を排出事業者の視点から紹介する。
  • 荒井 孝
    2010 年21 巻4 号 p. 232-238
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    自動車リサイクル法においては,使用済自動車の不法投棄を防止し確実なリサイクルを図るため,登録・許可制を前提に引取業者,解体業者等に使用済自動車等の引取り・引渡し義務があるが,この制度に実効性を持たせるため,使用済自動車1台ごとに,その引取り・引渡しの実施状況を情報管理センターが常時把握し管理する仕組みとなっている。
    本稿では,新たな自動車リサイクルシステムの導入にあたり,それまでの紙媒体による管理票制度に代えて新たに電子マニフェスト制度を導入するに至った経緯と電子マニフェスト制度の現状,課題について紹介する。
  • 小島 道一
    2010 年21 巻4 号 p. 239-244
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    国際資源循環に伴う問題として,輸出された再生資源のリサイクルの過程で汚染の問題が生じたり,リサイクルされず不適正に処理されたりするといった問題があげられる。このような問題を防止するため,再生資源のさまざまな輸出入規制が行われている。輸出入規制を補完する形で,トレーサビリティを確保する取り組みが始まってきている。本稿では,国際資源循環に関するトレーサビリティ確保の取り組みの必要性を整理するとともに,経済産業省が実施したパイロット事業,台湾におけるインターネットを利用した国際マニフェストや専門家による輸出先の調査,税関やバーゼル条約担当官庁間の情報共有の取り組みについて紹介する。最後に,今後,日本政府や企業がトレーサビリティ確保に向け取り組むべき点について指摘する。
  • 松岡 浩史
    2010 年21 巻4 号 p. 245-249
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    循環資源は潜在的な汚染性を抱えており,リサイクルを名目とした廃棄物の輸出,輸出先国での環境汚染といった問題が発覚している。循環資源の潜在的な汚染性をコントロールし,適正な国際資源循環を実現するためのツールとして,トレーサビリティ管理の重要性が指摘されており,これまで国や学識経験者,民間事業者などでトレーサビリティ管理の方法などの検討が行われてきた。その成果として,2009年3月に「一般社団法人資源循環ネットワーク」が誕生し,国際資源循環におけるトレーサビリティ確保に向けた第三者認証機関としての活動が開始されている。
    本論文では,一般社団法人資源循環ネットワークの設立経緯,トレーサビリティ確保に向けた取り組みの現状について紹介するとともに,国際資源循環におけるトレーサビリティ確保に向けた第三者認証機関にとっての今後の課題について整理した。
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