抄録
埋立焼却灰の風化に伴う鉄含有物質の変質および二次生成物の形態を明らかにするため,埋立年が異なる 4 つの地点 ( 1 ~ 20 年経過) から埋立焼却灰を採取した。埋立焼却灰の風化現象を光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡 (SEM-EDX),X 線回折装置 (XRD),蛍光 X 線装置 (XRF) を用いて明らかにした。埋立焼却灰には,二次生成物が確認され,goethite (α-FeOOH),lepidocrocite (γ-FeOOH),hematite (Fe2O3),magnetite (Fe3O4),iron oxide (FeO),ゲル状の鉄含有 Ca-Si と Ca-Al-Si が同定された。これらの二次生成物は,埋立地中の多様な環境下において焼却灰中の鉄含有物質が変質したものである。二次生成物には,環境保全上,重要な Pb, Zn, Cu, Ni 等の重金属が共存しており,埋立地系外への重金属の流出抑制に寄与していると考えられた。