抄録
水銀による地球規模の環境汚染と健康被害を防止するための条約の制定に向けた国際交渉が 2010 年より開始され,5 回にわたる政府間交渉委員会の結果,2013 年 1 月に 「水銀に関する水俣条約」 として条文案が合意された。この条約は,水銀の供給・使用から排出・廃棄までのすべてのライフサイクルにわたって国際的に規制を進めようとするものであり,2013 年 10 月に熊本市・水俣市で開催される外交会議で採択される予定である。日本は,水俣病の経験国として積極的に条約交渉に参加してきたところであり,条約の早期批准に向けた国内対応の検討を進めるとともに,条約の早期発効に向け,途上国の批准を支援するための活動などを進めていく。また,条約を補完する役割が期待される世界水銀パートナーシップ分野の活動についても廃棄物管理分野を中心に引き続き貢献していく。