抄録
炭素繊維強化プラスチック (CFRP) の製造コストの大幅削減と,今後顕在化する CFRP 廃棄物量の急激な増大に対処するためには,低コストかつ高効率の CFRP リサイクル技術の確立が不可欠である。本研究では,過熱水蒸気処理による,「CFRP 廃材からの炭素繊維の回収」 と 「繊維—樹脂間の密着性の向上」 の可能性について検討した。その結果,樹脂部がポリアミド 66 の CFRP の場合,500 °C 以上の過熱水蒸気で短時間処理することにより,繊維の強度低下を抑えた連続繊維の回収が可能であることを示した。また,過熱水蒸気への窒素ガス添加は,600 °C 以上の高温処理に伴う繊維の強度低下の抑制と,繊維—樹脂間の密着性の向上に有効であることを示した。