日本地理学会発表要旨集
2007年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 213
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「国生み神話」の地理構造
「筑紫」と「竺紫」地名から
*目崎 茂和
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抄録

 倭人や古代日本人は、どんな国土・地理観を描き、その地名を古代から付けてきたのか。その分析には、日本神話『古事記』『日本書紀』の国生み神話による、地理の命名法の論理が、第一歩である。それは國・嶋(洲)などの地名ばかりか、神名、氏姓部名も同様であったはずだ。
 本研究では、とくに国生み神話の「筑紫嶋」(九州島の古代名)や「筑紫國」と、「竺紫」の用例を分析して、神話地名の地理構造を究明したい。
 これまでの日本神話の分析から、中国哲学に由来する、陰陽説・五行説・八卦説・十二支説による円環構造から、展開や構成がされている(目崎・2005、2007)。
 イザナキ・イザナミなど五代・十神(二神を一代)の誕生は、図1に示すように、五行十干説によるものと推論され、その神名に関しても五行「木・火・土・金・水」に由来する。
 また、イザナキ・イザナミの国・嶋生みも、この構造に対応させるため、はじめに「水蛭子」「淡嶋」は、五行十干説の「水」気、水の兄「壬」水の弟「癸」で、いわゆる「水子」である。その後に「大八嶋國」の八嶋は、図2に示すように、陰陽の五行の残り「木・火・土・金」順として認識される。
 「隠伎之三子嶋」「筑紫嶋」は、「火」に配当されたのは、「火山島」に対応させた結論される。
 「竺紫」は明らかに「筑紫嶋」であるが、天地を結ぶ地名として「竺紫日向」など、「天門(竺)―地戸(紫)」に由来すると推論される。
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