抄録
本稿では,業界や政策動向に加え,定量・定性的なデータを用いた分析を基にした著者の知見を踏まえて,わが国のリサイクルビジネスの将来展望を検証する。
まず,これからのリサイクルビジネスは「大規模化」する。自治体財政逼迫や高度な再資源化へのニーズの高まりに応じて,許認可や業態の壁を越えた広域処理やリサイクルを担う主要事業者に求められる事業規模は拡大する。
次に,リサイクルビジネスは「低炭素化」する。エネルギー特別会計予算の規模拡大や,グローバル社会の要請を受けて,資源循環がもたらす低炭素化効果の定量的な把握が求められている。結果,競争力強化にも資する低炭素化の動きは加速する。
最後に,リサイクルビジネスは「グローバル化」する。少子高齢化の進展を背景とした成長には海外市場獲得が不可欠となる。アジア諸国等の経済成長,現地環境・衛生ニーズの高まりとわが国事業者の大規模化はグローバル化進展の後押しとなる。