抄録
エシカル・コンシューマリズムとは,地球規模の問題の解決策に参加する方法として,持続可能性,正義,公平性等の倫理的配慮に基づいて生産者と製品を選ぶ消費者の集団行動である。1980 年代イギリス,ノルウエー,ドイツを中心とする EU の消費者・市民は,新たな活動の場で政治的意見を表明し,政治的影響力を発揮する方法を見出した。EU 議会,UNEP,UNESCO,Consumer International 等 37 カ国 133 機関からなる国際組織である Consumer Citizenship Network は,これらの新たな行動レパートリーを政治的消費主義と呼んでいる。これは,ボイコットやバイコット,市場慣行についての議論で政治的懸念を払拭するために市場を利用することである。政治的消費主義の狭義は,政治的あるいは倫理的配慮に基づいた生産者と製品の消費者の選択を指す。政治的消費者は,制度や市場慣行を変えるためには,特定の生産者や製品を選び,正義や公平性の検討,あるいはビジネスと政府の慣行の評価に基づいて選択を行うことである。