抄録
本稿では,OECD が 2016 年に公表した拡大生産者責任 (EPR) のガイダンス改訂版のうち,5 章の「拡大生産者責任における環境配慮設計へのインセンティブ」の概要を紹介した。ガイダンス改訂版では,これまでの EPR 制度は DfE に対するインセンティブが不十分であると評価しており,その改善可能性を検討している。本稿ではガイダンス改訂版の内容と関連して,EPR の環境配慮設計 (エコデザイン,DfE) への影響を評価する際の留意点,日本の家庭系パソコンおよび家電 4 品目のリサイクル制度の個別生産者責任 (IPR) 的要素と DfE に対するインセンティブについて検討した。さらに,フランスの調整料金制度 (エコ調整) の事例を紹介し,種々の環境配慮インセンティブをもつ EPR 政策への日本での展開可能性について若干の考察を行った。