廃棄物資源循環学会誌
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特集:残留性有機汚染物質 (POPs) 対策の方向性
ポリ臭素化ジフェニルエーテルのマテリアルフロー解析と環境動態
平井 康宏 酒井 伸一
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2018 年 29 巻 6 号 p. 442-451

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抄録

ポリ臭素化ジフェニルエーテル (PBDE) のマテリアルフロー解析 (MFA) と,大気環境中における動態に関する近年の研究動向を紹介した。MFA の調査手法は,PBDE の国内需要量の推移をもとに用途別使用割合を乗じて用途別の PBDE ストック量を推定するトップダウン型と,個別の最終製品中の濃度と製品フロー量をもとに積みあげていくボトムアップ型とに大別される。製品の新規使用がなくなるため,今後はボトムアップ型が重要となる。PBDE の大気モニタリングにより,ペンタブロモジフェニルエーテル,オクタブロモジフェニルエーテルの減少傾向が多くの地域で確認されている。規制がやや遅れたデカブロモジフェニルエーテルの減少傾向は弱いか,まだ確認されていない地域が多く,一部の地域では増加が続いている。環境中濃度の減少に伴い,不検出データの増加が予想されるため,打ち切りデータを扱うモデルの適用等,適切な解析手法の適用が重要である。

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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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