抄録
人口増加とともに急速に都市化・工業化が進行し,経済成長著しいベトナムでは,都市域や工業地帯を中心に廃棄物排出量が増加している。建設廃棄物もリサイクルや再資源化も十分に推進されておらず,回収された建設廃棄物は特定の汚染防止措置を講ずることなく,投棄場での直接埋立もしくは空き地等への投棄が行われている。これらを背景に,埼玉大学とベトナム国立建設大学は,ベトナムからのJICA技術協力要請を受けて,建設廃棄物の適正管理とリサイクル促進に関する国際共同プロジェクト (JST-JICA 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム;SATREPS) を現在実施している。本記事では,ベトナムの建設廃棄物管理やリサイクルの現状を,本 SATREPS プロジェクト概要とともに紹介し,ベトナムで建設廃棄物リサイクルを進める上での今後の課題を整理する。