廃棄物資源循環学会誌
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特集:アスベスト問題の現状と課題
大気アスベストを迅速検査するための蛍光顕微鏡法の開発と自動化の試み
黒田 章夫 石田 丈典西村 智基
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2020 年 31 巻 5 号 p. 345-351

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抄録
大気中に浮遊するアスベスト微細繊維の検出には位相差顕微鏡と電子顕微鏡を組み合わせた方法が使われる。しかしこの方法は時間がかかり,高度な技術とともに大型の装置を必要とすることから,解体現場でのアスベスト検出には適さない。著者らは,アスベストを選択的に光らせる蛍光試薬を利用した蛍光顕微鏡法の開発を行ってきた。蛍光顕微鏡法による測定と,電子顕微鏡法による測定を実施して比較した結果,両方法による測定結果は高い相関性を示すことがわかった。2017 年,本方法は解体現場におけるアスベスト漏洩の検査法として,環境省アスベストモニタリングマニュアルに掲載された。また一方,現場での蛍光顕微鏡法の利用を進めるために,野外での利用に耐えうるような可搬型蛍光顕微鏡を開発した。本装置と大気サンプリング/染色装置を利用した蛍光顕微鏡法は,解体現場で1時間以内に結果を出すことができる。著者らは現在,人工知能を搭載したアスベスト繊維解析ソフトウェアを利用して蛍光顕微鏡法の完全自動化を行っている。
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© 2020 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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