抄録
化学肥料中心の施肥により,農地の地力の低下や栄養バランスの悪化等が進んでおり,肥料原料の海外依存を減らし環境負荷を低減する面でも,家畜ふん尿や産業副産物等の有機資源の循環利用が重要となっている。こうした取り組みを進めるため,肥料取締法を改正した。改正により,肥料の配合規制を見直して堆肥と化学肥料の配合を可能にするほか,安心して農家に有機系の肥料を利用してもらうための原料管理制度の導入,成分等以外の品質や機能を表示する表示基準の導入等を行なった。今後は,持続可能な食料システムの構築に向けた 「みどりの食料システム戦略」 等も踏まえ,法改正を活かして,農家に使いやすい新たな肥料の生産,循環利用の体制づくり,地力向上に取り組む環境整備等,関係者で連携して有機物資源の循環利用を進める。