一般廃棄物と産業廃棄物に含まれる食品廃棄物を原料として生産される有機肥料 (堆肥) の現状と課題,今後の展望について考察した。わが国で排出される一般廃棄物のうち厨芥類は年間 1,000 万 ton 以上と推定され,その一部が堆肥の原料として全国 81 施設 (2019 年) で利用されているが,大部分は焼却処分されている。一方,産業廃棄物のうち食品廃棄物の約 30 % にあたる約 500 万 ton が資源化されていない。家庭で生ごみを堆肥化するために,コンポスター,段ボールコンポスト,電気式生ごみ処理機等が利用され,ごみ減量のため多くの自治体から推奨されている。業務用生ごみ処理機はホテルや社員食堂,病院等で利用されている。家庭系や事業系の生ごみを処理する堆肥化施設は全国で 60 以上の自治体・団体が運営している。堆肥に品質規格がないことの問題点を指摘し,未利用食品廃棄物の堆肥化促進について考察した。
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