2023 年 34 巻 3 号 p. 168-177
繊維製品の持続性・循環を考えるうえで繊維製品の由来や素性(素材情報等) に関する情報の重要性が高まってきた。本論文では,京都市における家庭ごみ細組成調査を元に,家庭系燃やすごみ中の繊維類の排出実態を整理した。湿重量割合は1981 年の調査開始以降,増減を繰り返し推移してきており,2017~2021 年平均では燃やすごみの約6.2 %を占める。一方で,2021 年度の細分類項目組成結果では,商品57.5 %,使い捨て商品20.5 %,事業所由来9.2 %,その他12.8 %となり,不織布マスクが6.8 %を占めたことで使い捨て商品の割合が増加するなどの変化がみられた。また,2021 年度の繊維素材組成は合成繊維49.6 %,再生繊維0.4 %,天然繊維49.9 %であり,合成繊維の割合は1994 年度25.6 %と比べて上昇傾向にあることも明らかになった。こうした知見を活用しつつ,今後の繊維製品・繊維廃棄物の循環に係る対策や政策を検討していくことが求められる。