近年,マイクロプラスチック(MPs) による水環境の汚染が報告されており,世界的に規制やルール作りが本格化している。生活排水に着目すると洗顔料や化粧品由来のMPs,洗濯による衣類由来の化学繊維片,繊維状MPsが排水に含まれると予想される。洗濯排水中の繊維状MPsを定量的に実験した結果,1人1日あたり繊維状MPsの排出量(重量) は,洗濯1, 5, 10, 15, 20回目の平均値で,パルセータ型で46.2 mg/(人・日),ドラム型で210 mg/(人・日) であった。同様に, 1人1日あたり繊維状マイクロプラスチックの排出量(本数) はパルセータ型で394,000 本/(人・日),ドラム型で2,180,000 本/(人・日) であった。重量,本数ともにドラム型洗濯機からの排出量がパルセータ型よりも多かった。また,洗濯回数の増加に伴い,排出される繊維が短くなる傾向が観察された。乾燥器による繊維の劣化や,たたき洗いによる物理的衝撃の影響で,繊維の微小化が特にドラム型洗濯機で起こっていることが示唆された。
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