2023 年 34 巻 5 号 p. 317-325
本稿では,現在開発中のパウチの水平メカニカルリサイクルについて解説した。日本ではパウチは主につめかえ用として多く使われており,ボトルに比べ使用するプラスチック量が少ないという利点があるものの,数種類のプラスチックの積層で構成されているためリサイクル性に劣る欠点があった。そこでわれわれは,パウチのメインプラスチックである線形低密度ポリエチレン (LLDPE) の水平リサイクルを目指し,異物を除去する技術 (金属検出機によるアルミ箔の除去,レーザーフィルター (LF) によるポリアミド (Ny (ナイロン)),ポリエチレンテレフタレート (PET) の除去) と,残った異物を無効化する技術 (Ny,PETの相溶化,フィルム成形条件の最適化,容器層構成の最適化) の開発を行なった。その結果,つめかえ用パウチとしての必要十分条件を達成することができ,2023年5月に本再生材を用いたつめかえ用の衣料用洗剤を上市することができた。