2024 年 35 巻 1 号 p. 44-53
発災前に災害廃棄物処理計画の策定や BCP (Business Continuity Plan) の策定等を行うことで,災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を実現することが可能となる。実効性の高い災害廃棄物処理計画を策定するためには,災害廃棄物発生量を精度よく推計する必要がある。今回,地図情報,衛星情報等を用いて人工構造物の多い地域を識別し,人口密度等から建物棟数を推計した上で,世帯あたりの延床面積を乗じることで,建物由来の災害廃棄物発生ポテンシャル量の推計の可能性を見出せた。ただしこれは,その地域に存在する建物の延床面積を示したものであり,重量換算するためには,建物構造別の延床面積あたりの原単位を整理する必要がある。本稿では,日本,上海およびインドネシアの原単位を紹介したが,アジア太平洋諸国についても,存在する建物構造を整理し,それぞれの原単位を設定しておくことで,建物由来の災害廃棄物発生ポテンシャル量が重量ベースで推計可能となる。