2024 年 35 巻 1 号 p. 36-43
災害廃棄物管理に関する各国の政策をみていくと,その準備は必ずしも十分であるとはいえない。一方,東南アジアにおいては,いくつかの国において,災害廃棄物管理のガイドライン類の策定が進められている。具体的な動きの中で,フィリピンにおける動向を整理する。近年,フィリピンにおいては災害廃棄物管理への関心が高まり,いくつかの取り組みが開始されている。そうした動きを包括的に整理した事例はなく,本稿では中央政府,地方政府,その他のセクターの動きを整理していく。注目すべき点として,中央政府とマニラ首都圏において,災害廃棄物のガイドライン制定に向けた準備が進められていることを紹介し,その比較分析を行なった。結論として,災害廃棄物管理の現状把握や,政策検討を行う上で,「根拠法」を明らかにすること,多様な「ステークホルダー」を包含することで現実的かつ実効性を伴う政策を策定することができるという点を提案する。