抄録
廃棄物の中間処理を支える焼却は,排ガス中のばい煙,水銀,ダイオキシン類等の公害物質処理技術とともに発展してきた。本稿では,排ガス処理システムの原型がほぼ完成した2000年代前半以降の窒素酸化物,酸性ガス(塩化水素および硫黄酸化物),水銀,有機化合物の処理と排出抑制に関する技術変遷と動向について紹介する。窒素酸化物に関しては,燃焼技術や無触媒脱硝技術の発展と新たな技術展開を述べる。酸性ガス処理においては,乾式法を中心に未反応アルカリ剤に対する課題を論じ,対策技術を紹介する。水銀除去に関しては,活性炭利用の制御技術を取りあげ,最近,注目されている PFAS の熱処理特性とその課題について言及する。