2017 年 27 巻 1 号 p. 19-24
抗体は、現在では医薬品創出に欠かせないフォーマットとして確立され、幅広く認知されている。抗体医薬品に採用された複数の要素技術の蓄積が今日の繁栄を支えている。開発初期には、マウスで取得した抗体の抗原性が問題となっていたが、キメラ抗体技術やヒト化抗体技術、さらには、ファージディスプレイ法やヒト抗体産生遺伝子改変マウスなどによりヒト抗体を取得する方法を開発することで克服してきた。しかしながら、現在では通常の抗体技術を適用できる抗原が枯渇状態に近づきつつあることから、従来の抗体医薬品では達成できない機能を付加できる新たな技術が開発されている。その中でも、低分子抗体は、組織への透過性、製造の容易さ、他のフォーマットとの組み合わせの可能性、ユニークな結合様式という特性から、医薬品応用への期待が高まっている。