2017 年 27 巻 2 号 p. 100-104
反応性代謝物は特異体質性薬物毒性発現の一因と考えられており、リード最適化ステージにおいて、反応性代謝物生成リスクの高い化合物を開発候補選定までに排除することが望ましい。その手段としてグルタチオントラッピング試験が用いられる。これまでにいくつかのトラッピング試薬が開発されてきたが、いずれも偽陽性・偽陰性を生じるため、結果の解釈が困難になる場合がある。新規トラッピング試薬GSHEE-d5は既存試薬と比較して、高感度・高選択的であった。本試薬は反応性代謝物の検出力が優れており、結果の信頼性が高いため、反応性代謝物生成回避のためのヒントとして使いやすい。メディシナルケミストがGSHEE-d5によるトラッピング試験のデータを活用することで、従来よりも安全性の高い医薬品が創出されることを期待している。