2017 年 27 巻 2 号 p. 59-63
筆者は2007年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のRobert Fletterick研究室にて博士研究員として在籍し、主に幹細胞の転写因子複合体の構造解析に取り組み、その後、NIHのPSI:Biologyの1テーマとなったプロジェクトの立ち上げとプロジェクトマネージメントを担当し、5年半の現地での研究生活を経て、2012年に高エネルギー加速器研究機構に職を得て帰国した。その後もUCSFやスタンフォード大学との密接な共同研究や共同セミナーの開催を通じ、現地と交流を続けている。本稿では、UCSFで開始した幹細胞転写因子の構造生命科学研究について紹介すると共に、この10年間の構造生物学を取り巻く時代背景、さらには実際に見聞きしたアカデミアと産業界との交流について紹介する。