2021 年 31 巻 4 号 p. 180-185
疾患の原因となる遺伝子のmRNAやpre-mRNAに相補的な配列をもつ一本鎖のオリゴヌクレオチド(アンチセンス核酸) は、細胞内で標的RNAと二重鎖を形成することで、mRNAからタンパク質への翻訳を抑制したり、pre-mRNAからmRNAへのスプライシング過程を制御したりすることができる。しかし、アンチセンス核酸の効果を最大限に発揮させるためには、適切な人工核酸や化学修飾技術の利用が不可欠である。本稿では、筆者らが研究を進めている架橋型人工核酸やこれまでの承認薬に用いられている化学修飾の例を紹介しつつ、アンチセンス核酸の研究開発の現状を概説するとともに、今後のアンチセンス核酸の開発におけるメディシナルケミストリーの重要性や将来展望についても述べたい。