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DISCOVERY
HDAC8選択的阻害薬の創製とPROTACへの応用
山下 泰信高田 悠里伊藤 幸裕鈴木 孝禎
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2023 年 33 巻 4 号 p. 181-186

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抄録

ヒストン脱アセチル化酵素8(HDAC8)は、亜鉛依存性HDACの一つであり、コヒーシンなどの非ヒストンタンパク質の脱アセチル化を触媒する。HDAC8は触媒機能だけでなく、STAT3やCREBなどの転写因子と相互作用する足場機能を有し、遺伝子発現を高度に制御している。また、HDAC8は、成人T細胞白血病など、種々のがんの増殖に関与しており、抗がん剤の分子標的としても興味深い。そのため、HDAC8の触媒機能を阻害する従来の酵素阻害薬や、触媒機能と足場機能の両方を阻害することが可能なタンパク質分解誘導薬PROTACは、抗がん剤として期待される。このような背景から、筆者らは、HDAC8に対する創薬研究を展開してきた。本稿では、筆者らが実施してきたクリックケミストリーによるライブラリー構築を活用したHDAC8選択的阻害薬の同定とその構造最適化、さらに、見出したHDAC8選択的阻害薬のPROTACへの展開について紹介する。

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