透析アミロイドーシスは人工透析治療患者に特異的に発症する全身性アミロイドーシスである。この疾患は、β
2ミクログロブリンの異常凝集体であるアミロイド線維が原因であることが知られているが、その発症機序について未解明の事柄が残る。本稿では、透析患者の血清検体がβ
2ミクログロブリンのアミロイド線維形成反応に及ぼす影響を独自開発した超音波アミロイド誘導装置を用いて解析し、この疾患の発症リスク因子について探索した結果を紹介する。また、この研究の結果を通して、現在のアミロイドーシスに対するいくつかの予防・治療戦略について考察し、生体内でのアミロイド線維形成反応を物理化学的な観点から見たときに、どのような戦略がアミロイドーシスの根絶にとって有効と考えられるのかを論じる。
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