医学教育
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漢方医学教育における漢方生薬実習の検討
日置 智津子荒井 勝彦高士 将典新井 信
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2009 年 40 巻 4 号 p. 271-278

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抄録

漢方医学教育は,全人的医療の遂行を目標として西洋医学を補足するため,2001年に医学教育モデル・コア・カリキュラムに盛り込まれた.現在,全国80大学医学部,医科大学で急速に進められている.漢方初学者が,医療薬学的な手法で漢方薬や生薬を探索し,チームで討論しながら実習することで,漢方に対する学習意欲を向上させることを目指した.
1) 東海大学医学部第4学年116名を,およそ13人のグループ(内訳 12名;3群,13名;4群,14名;2群)に分け,漢方基礎理論について総合講義6コマ終了後,漢方生薬,鍼灸,漢方理論の実習を3コマ実施した.
2) 漢方生薬実習は,施療者と患者双方の立場から漢方薬を理解できる内容とし,1群を2分し,チーム学習によって学生の積極的な発言を促した.
3) 産地と等級の異なる桂皮を用いて桂枝湯を調製後,桂枝湯の匂い,味や色,体感の違いを主要成分含有量の測定結果と比較し,さらに薬効を予測させた.
4) Aグループ(40名;6チーム)は実習2日後,Bグループ(76名;12チーム)は受講前に,漢方医学の試験を受けた.Aでは成績と関心度に相関がなく,正答率60%以下が1人,Bは成績と関心度に正の相関関係があり,6名が正答率60%未満であった.
5)本実習は,漢方の初学者に漢方治療に対する関心を高め,漢方勉学動機づけに有効であると推察された.

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© 2009 日本医学教育学会
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