在住外国人は, たとえ日常生活で日本語会話に不自由がなくても, 病院内で交わされる日本語が十分に理解できるとは限らない. それは, 馴染みのない医療用語, 体調不良による集中力低下, 非日常的な病院空間からくる緊張, 医療制度や習慣・文化の違いなどのため, 言葉以外にも多くの壁に直面するからである. 初診や告知・治療説明, ラポールを結ぶ, あるいは患者の訴えに十分に耳を傾ける必要がある場面では, 医療通訳者が同席することがよりよい医師-患者コミュニケーションにつながると考える. 医療現場で外国人患者を支える医療通訳者の立場から, 医療従事者に期待することを提言として触れたい.