医療倫理は生命倫理の一分野であり, その中に研究倫理と臨床倫理がある. 医療倫理学自体は学説や原理に基づいて, 普遍妥当的あるいは一般的な価値判断を示すのに対し, 臨床倫理学はそのケースに合った暫定的蓋然的価値判断を示すケーススタディであり, 応用倫理である. 一方, 研究倫理については「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」や「臨床研究法」が制定されている. 「医療法学」は, 古くから医学部教育の中に存在していたが, 「その他諸規則」扱いにとどまっていた. 近年の社会情勢の変化を受け, 独立した領域として適切な専門家による教育がなされるべきとの要請の下, 「医療法学」としてモデル・コア・カリキュラムに示されることとなった. 現在, 「医療の法化」が過度に進んでおり, 医療現場に弊害が生じている. 「医療法学」教育においても, プロフェッショナル・オートノミーが重要である.