精神医療の多職種を対象に文化的コンピテンシーの修得を目指した教育プログラムを開発した. 支配的なイデオロギーを批判的に問い直す社会的公正教育を参考に, 特定の集団の文化だけに焦点を当てるのではなく, KumagaiとLypsonの提唱する批判的自己内省を通して「他者には私の知り得ない部分 (他者性) がある」と気づくことを目指し, 会も他者性勉強会と命名した. 医療における人文学の研究者が書いた医療現場の文化についての論考を主な教材として, そのレンズで現場を見たときに, 自分たちの医療文化について問題となることを話し合った. 本稿では, 現在までに見えてきた課題, その対応と今後の展開について考察する.