順天堂大学医学部附属順天堂医院 (1051床) では, 2021年5月に「SOGIをめぐる患者・家族・職員への配慮と対応ワーキンググループ」を立ち上げた. 2023年2月現在, 300名を超える「アライ」が生まれ, 様々な部門で多様なセクシュアリティの患者が不安なく受診し治療を受けられる環境づくりを進めている. こうした取り組みは病院内にとどまらず, 大学の他の部門にも広がり, 医学部では医学生への適切な配慮や卒前教育の充実をもたらしている. 少人数形式のSOGIセミナーにおいて, 患者の立場からの体験や要望を直接に聴く機会を得ていることが, 理解を深め行動の変化につながっている. SOGIへの配慮は, 一人ひとりに向き合ってその思いを汲み取ることから始まる. それはどの患者の対応でも求められる. 本稿では, 順天堂医院において具体的にどう取り組みを進めてきたかを紹介する.