一トランスジェンダー当事者によるライフストーリーです. トランスジェンダーが決して遠い世界の存在ではなく, 同じ日本で生活をしている同じ人間であること, 一方で, 理解や制度が十分でない中で抱える課題や感じてきたことを, このライフストーリーを通じて知ってもらいたいと思い書きました. 幼いころから自らのセクシュアリティを親にさえも隠さざるを得ない状況の中で生活してきた当事者にとって, カミングアウトやトランジションがどのような意味を持つのかをお伝えしたいです. そして, 社会が変わりゆく中で, 漸く本当の自分を生きられるようになってからも, 当事者にとって医療にはいくつもの大きな障壁があることを, 医療者育成に取り組む読者にお知らせしたく, 当事者の目線で記載しています.
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