医学教育
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共用試験OSCE, CBTとadvanced OSCEにおける評価の相関
同一の受験者での検討
宮本 学杉野 正一島本 史夫出口 寛文北浦 泰米田 博
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2007 年 38 巻 6 号 p. 399-405

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抄録

臨床実習の前後で行われる共用試験とadvanced OSCE (ad.OSCE) の役割の明確化を目的とし, 臨床実習で良い成果を得るために共用試験で如何なる成績を修めている必要があるかを検討した.さらに, ad.OSCEの内容のブラッシュアップや評価基準確立のため, 各領域のシナリオが臨床推論の流れを評価できる構成かをみた.
1) 共用試験とad.OSCEの両方を受験した97名につき, 共用試験の面接, 胸部, 腹部, 神経, 共用試験CBTブロック1-4の部分と5-6の部分, ad.OSCEの3領域3課題の評価について相関を検討した.
2) 面接とステーション別の身体診察のそれぞれについて, 共用試験OSCEとad.OSCE間には相関がない.異なる観点の試験と考えられる.
3) ad.OSCEにおける医療面接から身体診察を経て筆記問題 (鑑別診断) に至る相関行列でみると, 身体診察に的確な医療面接が必要で, 筆記問題を解くために的確な身体診察が必要である.
4) ad.OSCE医療面接と総得点および共用試験CBTとOSCE胸部との相関から, 臨床実習を充実させるためには, 基本的な知識は充分に備えてかつ高いモチベーションが必要である.
5) ad.OSCEは, 共用試験OSCEでの基本手技とは別にそれらを応用する知識が必要で, 臨床実習の効果判定に利用できる.両試験はそれぞれの特徴と役目を有していた.

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