医学教育
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学外の指導医による高知大学出身研修医の評価
准教授講師会によるアンケート調査
奥谷 文乃柿沼 由彦岡田 尚志郎藤枝 幹也公文 義雄西森 功
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2008 年 39 巻 6 号 p. 421-432

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抄録

高知大学以外の初期臨床研修施設において, 本学出身初期研修医の能力の評価ならびに他大学出身者との比較を指導医に依頼するアンケート調査を行い, 本学における学部教育が医学教育の緒端として本来の役割を果たしているかを探索した.講座の壁を越えた団体である高知大学医学部准教授講師会が基礎・臨床の多角的視点に基づいた調査を行うため企画・実施した,
1) 本学医学部附属病院以外の施設の指導医に回答を依頼した.質問票には研修医としての絶対的総合評価ならびに他大学出身者と比較した相対的評価の項目を設けた.
2) 全国148施設の内科系・外科系の2人の指導医に回答を依頼し, 296枚の質問票を送付し, 108名から回答が得られた. そのうち93名が本学出身研修医を評価した.
3) 21名 (19.3%) の指導医が本学出身研修医に対し不足を指摘した医学的知識の中で最も指摘が多かったのは公衆衛生学的知識であった.臨床医として必要な医療スキルでは医療面接や身体診断法は90%が「身につけて」いる反面, 生理・検体検査の実施や画像検査の読影を「あまり身につけていなかった」という回答は15%以上あった.
4) 他大学出身者との比較では全般的に「優れている」という回答が多かったが, 「劣る」という8枚の中には学習態度や技能の修得における積極性の欠如の指摘が多い傾向にあった.
5) 態度に関する項目の中で「今後も一緒に働きたい」という協働スタッフとしての期待度と相関を示したものは, コミュニケーション能力や積極性であった.

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