抄録
学習環境としての小学校の教室では、教室全体の特性が、学級児童全体の授業への集中の助けとなることが重要である。一方で、児童一人ひとりに個性があり、それぞれ授業に集中しやすい条件が異なることも充分に配慮されるべきと考える。本稿では、教室内の児童の座席位置に注目し、情緒・学習面の通級指導教室に通う児童の保護者を通じ、児童の感じている困難さの種類によって、授業に集中しやすい座席の位置に違いが見られるかを検証した。その結果、取り上げた5つの困難さの種類(注意面・衝動面・学習面・社会面・感覚面)のうち、感覚面を除く4つの困難さについては、その有無によって、選択した座席位置に異なる特徴が認められた。