本稿では,日本で社会的に注目されている食料品の買い物弱者問題を背景として,高齢者の買い物環境の評価構造に焦点を当てる.オンラインアンケート調査のデータに基づき一連の解析を行い,店舗までの経路中のいかなる「道路環境要素への不満」が,各自が利用する店舗までの「アクセス不便」という評価に影響を与えるかを明らかにするとともに,そこで着目すべきとされた要素に関する不満が生じうる状況を推定する決定木モデルを構築する.そして,「アクセス性の不便」という概念に対する人々の評価構造を現実の客観的状況との関係から理解する事で,今後の買い物弱者対策について示唆を得る事を目的とする.分析では,まず多変量解析により,店舗へのアクセスに不便をもたらす可能性のある道路要素の抽出を行った.さらに,各道路環境要素に対する高齢者の「不満」という主観的評価の推定のために,道路状況に関する客観データ・指標の整備を行い,決定木モデルを作成した.この決定木モデルから,各自の満足度の評価傾向を大きく変える客観的条件の閾値を抽出する事ができた.これらの結果やモデルの活用をする事で,複数の地域の状況をより効率的に比較したり,より詳細な調査が必要な地域を発見したりする際に大きな助けとなる.