人間・環境学会誌
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心理相談室の使われ方の類型化 : 家具調査法を用いた検討
三輪 佳子羽生 和紀飯長 喜一郎
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2006 年 9 巻 2 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は,心理相談室の使われ方を家具調度品の調査法を用いて類型化することで,心理相談室の行動セッティングとしての特徴を明らかにすることであった.そのため民間の心理相談室,大学の学生相談室,臨床心理士養成のための研修施設の,3種類の心理相談室の使われ方の違いを検討した.対象は心理相談室内の73の面接室と,面接室以外の24の付属室で,それぞれの室内に存在する家具調度品の種類を実地調査し,そのデータを用いて対応分析を行った.その結果から,心理相談室の面接室の使われ方には,「収容人数の多さ」と「勤務-休憩」の次元の組み合わせで説明される「少人数の勤務と生活」「少人数の面接・心理検査」「多人数の憩い」という3種の使われ方があることが明らかにされた.また,面接室以外の付属室には「休憩-勤務」と「レクリエーション-家事」の次元の組み合わせで説明される「勤務」「レクリエーションと休憩」「家事と休憩」という3種の使われ方があることが明らかにされた.さらに,学生相談室の面接室は,多人数のレクリエーション,および職務や生活が行われる場面であるという点で,民間の心理相談室や研修施設とは使われ方が異なること,また,民間の心理相談室の付属室は家事が行われる場面であるという点で,学生相談室や研修施設とは使われ方が異なることが示された.最後に,調査を行った施設の職員に対するインタビュー結果から,家具調度品の調査の結果と実際の行動との間に十分な対応関係があることが示された.

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© 2006 人間・環境学会
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