2008 年 49 巻 3-4 号 p. 17-26
小学校算数担当教員が,指導内容について学習項目間の構造的な関係をどの程度理解しているかを明らかにした。小学校教員6校95人を対象として,算数5年下「割合」, 6年下「分数のかけ算・わり算」の各単元についてコンセプトマップを描かせ,伝達係数を用いて分析した。その結果,次のことが判明した。
(1) 教材構造の認識の分析は,コンセプトマップを利用して求めた伝達係数を用いる方法が有効であり,伝達係数の値は認識構造形を説明するのに役に立つ。
(2) 教員の96%は,指導内容の構造的な関係をほとんど理解しておらず,教員自身の教材構造の認識が極めて低い。
(3) 教職経験年数が増しても,構造的関係の理解はほとんど同じで,教員の教材構造の認識は改善されていない。
(4) 教員の教材構造の認識は,時代に沿って悪くなる傾向にある。