本研究の目的は,高等学校数学における「解析的思考」の指導の現状を探ることにある.茨城県内全高校に調査問題を送付し回答した教師102名について次のことがいえる.第1に,調査問題において意図的に「解析的思考」を指導していた教師は半数に満たない.第2に,経験のある教師ほど,または勤務校偏差値が高い教師ほど「解析的思考」過程を記さない自分の解答が生徒にわかりやすいと考える傾向がある.第3に、調査冒頭で「解析的思考」を指導しないと回答した教師でも,調査への回答を通して解析的思考を意図的・意識的に指導する回答に変わる傾向がある.