抄録
数学的モデリングは,生徒の主体的に数学を学ぶ力を育成しようとする歴史的潮流の中,1980年代に誕生した。その後,わが国にあっても,数学的モデリングに関する教育実践は多様に展開され進展してきた。今日,学習者の多様化と,集団と個人の双方の力を高めるといった要請が以前にも増して拡大し,一方で,「数学的活動」(新中学校学習指導要領)を巡って迷走が始まっている。こうした状況にあって,数学的モデリングの研究・実践もまた,新たな方向性が求められる局面にあると言ってよい。本稿では,この問題意識のもと,筆者らのこれまでの数学的モデリング研究と実践を真摯に振り返り,その実態と限界を事例的に示し,かつ,新たな方向性を提案したい。