抄録
本研究の目的は,高専学生の特性を考慮したうえで,専門科目を取り入れた微分授業の有効性について検討し,高専における関数指導法を提案することである。具体的には,機械工学科3 年生の専門科目「機構学」の内容を機械工学科2 年生一般科目「微積分Ⅰ」の授業に取り入れ,その効果について情意・学習の両面から検討を行った。その結果,情意面については授業アンケートの自由記述から高専学生の特性である道具的動機づけの高さ(「専門科目への興味」,「将来に役立つ」)が裏付けられた。学習面については,課題特性の異なる4つの調査問題を実施,数学的課題については関数指導法による効果は一部しかみられなかったが,工学的課題については専門科目を取り入れた微分授業を行った機械工学科の正答率が高かった。これらの結果は,高専学生に必要とされる力をつけるための指導方法,すなわち,高専における関数指導法としての可能性が示されたものといえる。