本研究の目的は, 極限の考えを導入した円の面積の授業実践とその効果を明らかにすることである。そのため, 第6学年の2クラスの児童61 名を実験クラスとし, 他の第6学年の2クラスの児童63名を統制クラスとした。実験クラスの児童に対しては, 算数的活動の内,「調査的な算数的活動」と「探求的な算数的活動」に焦点を当てて授業実践を行い, 統制クラスの児童に対しては, 教科書に沿った授業実践を行った。事後調査では, 6社の教科書が扱っている「円を分割し, 分割した扇形を交互に並び替える内容を問う問題」を問題1とし, T 社の「教科書の内容を発展させた内容を問う問題」を問題2とした。事後調査問題を分析・考察した結果, 次のことが明らかになった。
(1) 問題1について, 実験クラスの正答率は90.2 %であり, 統制クラスの正答率は57.1 %であった。
(2) 問題2について, 実験クラスの正答率は93.4 %であり, 統制クラスの正答率は58.7 %であった。
これらの結果から, 算数的活動を重視し, 極限の考えを導入した円の面積の授業実践は, 児童にとって理解しやすく, 効果があることが判明した。
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